企業や組織でのIT活用は、業務システムを構築後に運用という作業があります。そして、企業や組織でのITコストの大部分が、既存システムの維持に費やされていることが指摘されています。企業のIT運用をITサービスとして捉えて、方法論を提供しているものがITILです。IT運用には大きなコストがかかります、なおかつ運営担当者の業務が増えてしまうという問題があります。顧客からの不具合に対応するインシデント管理においても、サーバやネットワークの構成の情報が共有されておらず、特定の人しか理解していないため、その人がいなければ対応が不可能ということがよくあります。また、トラブルや問い合わせに対する対応も、優先順位を無視して行われて、突発的なトラブルが発生すると他の業務へ手が回らず、ユーザーの満足度も低下するという事態が見られます。
ITILのインシデント管理の目的
IT運用をシステム化して運用業務を自動化し、相互の連携を進めて効率化を行うこと、ITサービスを提供することによってIT運用を可視化して、顧客満足度を上げ、適切なIT運用コストの算出の根拠を入手すること、それによってIT運用に関する業務を体系化すること、再構築のための指針として利用することがITILの目的です。ITILはIT運用のノウハウを体系化したガイドラインですが、その中心は、日常的な運用管理に関するサービスサポートと中長期の運用管理計画であるサービスデリバリです。サービスサポートの中には、ITを運用する時に起こる障害やユーザーからのリクエスト管理を行うインシデント管理や、それぞれの問題点を管理して、設備の変更や増強などを行ってユーザーにフィードバックするという作業を効率良く行うための手順を示しています。
ITILのインシデント管理がもたらすメリット
インシデントとは、顧客から寄せられるさまざまな問い合わせや障害報告、サービスに対するリクエストなどを総称したものです。インシデント管理は、ITサービスが停止する事を最小限に抑える事を最優先に行います。根本原因は究明されなくても、サービスが使える状態に回復させることに主眼が置かれます。ITILを活用することによって、運用業務が効率化されます。これまでに溜まった類似の事例を参照できることで、業務にかかる時間を短縮し、効率良く対処できるようになります。ITILのインシデント管理では、ユーザーからの問い合わせはすべて記録します。それにより、作業量に対して適切な人員数になっているかを検討することができます。人件費を適切にするだけでなく、顧客に対するサービスの質も向上できます。
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