最後にITILのインシデント管理をする際の注意点などを紹介

ITILのインシデント管理について説明する前に、先ずはITILについてあまり知らない方へのお話から始めます。ITILとはIT Infrastructure Libraryと言い、1980年代のイギリス政府の活動から生まれたものです。当時のイギリス政府は専門家チームを組織して、IT利用の先進企業がどの様にIT運用をしているのか、そのノウハウを調査しそれを体系化してガイドラインとしてまとめました。これがITILの始まりと言われています。この時のガイドラインはイギリスの商務省により管理されていて、イギリスの出版局から書籍としても発行されています。その後の1990年代にイギリスでITILのユーザーグループというのが設立されて、この団体は日本を含めた世界各国にも設立されていて、関連活動も大きく広がっています。

ITILのインシデント管理のインシデント管理とは何なのか

ITILはITの業務に対してサービスという見方からIT管理業務をとらえているのですが、IT管理業務を定量化して効果的な財務管理を実現するべくその手法も提示しているといえます。そのシステムの運用の中でも日常的に出てくるのがインシデント管理と問題管理です。この二つは二つともトラブルを連想させるプロセスなのですが、違いについても説明します。インシデント管理のインシデントという言葉は、標準の運用には属さないサービス品質の低下をさせてしまう事象の意味を指します。インシデント管理の目的となるのが、インシデントが発生した時にビジネスへの影響を最小限に抑えるべく、可能な限り迅速にそのサービスを正常な状態へと復旧させるという事です。ITサービスの品質を維持するための管理プロセスとなっています。

ITILのインシデント管理を再発防止する問題管理

標準の運用には属していないサービスの品質を低下させる現象と同様に、インシデントを管理するのがITILのインシデント管理ですが、そのインシデントの根本となる原因を究明して再発防止という恒久的なワークアラウンドを実施するのが、問題管理となります。この問題管理の活動のおかげで、予防には限られているのでインシデントによる悪影響というのを最小限に抑えるので、インシデント管理のように迅速な対応というよりも時間をかけ根本原因となる原因を究明する事に重きが置かれています。インシデント管理を行う上での注意点は、この問題管理が似ていても別のものであるとしっかり理解しておく事です。インシデント管理だけでは、インシデントが引き起こした原因を究明し再発の防止はできないので、問題管理が必要であるという点を認識しておきましょう。